STORY
静岡県の西部に位置する菊川市は、日照時間が長く、年間を通じて温暖な気候に恵まれた土地です。「やぎバラ育種農園」さんは同地で1973年に設立。国内では数少ない、バラの品種改良を行う生産者さんです。3000坪の土地から出荷されるバラは、すべて2代目園主の八木勇人さん(写真)と、お父様が開発したオリジナル品種です。秘密の花園のような園内には、色・形ともに個性豊かな花が、所狭しと咲き誇っています。「グリーンアイ」と呼ばれる、中央に芽のような部分がのぞくバラも豊富です。
やぎバラ育種農園オリジナルのバラは、総称してArt Rose.(アールローズ・仏語で芸術のバラ)と名付けられています。キャッチコピーは「一輪で絵になるバラ」。
「元々は『会話のはずむバラ』をテーマにバラを作っていました。見た人が驚いたり、感動したり、思わず人と話したくなるような花が作りたいんですよね」
その言葉通り、八木さんのバラは、独特なフォルムやかぐわしい香り、流行を先取りしたニュアンスカラーなど、思わず人に「見て、見て」と共有したくなる魅力にあふれています。
新しい品種を生産するのは、多大な苦労が伴います。バラの実から取り出した花粉を母親となるバラに受粉させ、約100種類の試作品種を作ります。耐病性や花のつき方などを検証し、2年目に30種、3年目に5種に絞り込み、仕込みから5年目にして、2〜3品種がデビューを果たします。生産性だけを追い求めると取り組むのをためらってしまう数字。それでも育種を行うのは、「まだこの世にない新しいバラが見たい」というシンプルな気持ちがあるからだと語ります。
そんな八木さんに、青山フラワーマーケット監修のオリジナルローズを生産してもらう取り組みが進行中です。お客様に手にとって頂きたいと願うバラを、花屋の目線でクリエイターがセレクトし、生産調整を重ねています。今まで誰も見たことのない、新たなバラが店頭に並ぶ日を、楽しみにお待ち下さい。